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斎藤 庸*; 坂森 計則*
JNC TJ7400 2000-007, 222 Pages, 2000/03
地下水流動解析結果の検証項目としては、主に試錐調査から得られる水頭分布や地下水の水質、年代が考えられている。しかし、これらの試錐調査からの情報は地域が限定されるため、これらの検証項目に加えて、解析対象領域の全体的な地下水の流動状態を検証するための補完的なデータが必要である。一方、これまでの東濃地科学センターにおいて実施した地下水流動解析結果から、地下深部の地下水と河川との間には密接な関係があることが明かとなっている。以上のことから、解析対象領域の全体的な地下水流動状況が検証できる補完的データ準備の一環として、河川流量観測の行われていない日吉川の流量を予測するタンクモデルの構築を行った。主な作業の概要と成果は以下の通りである。1)タンクモデルの構築は、以下の手順で実施した。(1)日吉川全流域を主に地質構成に基づいて46の小流域に区分、(2)正馬川流域・柄石川流域及び土岐川流域(多治見観測所)の流量観測を利用して地質構成と河川流出の関係(地質構成を流出モデルへ反映させる方法)を整理、(3)各小流域毎に地質構成に基づく流出モデルを構築し全体を連結、(4)日吉川全流域の流出を予測 2)小流域のタイプ区分は、既往の水文調査結果をレビューし、比流量(河川流況)と流域の地質構成(瀬戸層群体積)との相関性を指標にした。3)今回提案した日吉川流量推定方法では、瀬戸層群の体積と無降雨時の河川 比流量との関係成立が基本となるため、地質状況の確認の他、現地観測の 補足により検証対象の増加を図り予測精度の向上を期す必要があることが 明らかになった。4)従来からサイクル機構が行ってきた水収支計算は、年度を対象としたものであるためタンクモデル計算には不適切な点がある。蒸発散量の推定法、タンクモデル計算上の蒸発散の扱い方などについては再検討を要するものと考える。
杉野 弘幸; 菅野 毅*
JNC TN8400 99-040, 75 Pages, 1999/11
これまでにサイクル機構では高レベル廃棄物の地層処分研究の一環として、人工バリアとして用いられる緩衝材の岩盤内への流出、侵食挙動に関して研究を進めてきた。平成9年には地層処分基盤研究施設(エントリー)の緩衝材流出挙動試験設備を用いて実施した緩衝材の流出挙動に関する試験に関して報告をまとめている。本書はその後、第2次取りまとめに向けて、緩衝材の流出挙動を解析的に評価した試みを報告したものである。緩衝材の流出挙動は、中野ら(1982)、Pusch(1983)、Kanno and Wakamatsu(1991)、Borgessonら、Ahn(1999)らなどにより研究が為されている。本報告ではこれらの研究をもとに緩衝材の流出挙動に対するメカニズムのモデル化を検討し、緩衝材の流出挙動を拡散モデルと、さらに緩衝材の粘性係数を仮定し、その効果を考慮したモデルを採用することにより、緩衝材の流出挙動の亀裂幅に対する依存性を解析的に表現した。また、その結果を用いて、第2次取りまとめで想定した人工バリアに対して長期にわたる緩衝材の流出に起因する密度変化を解析的に予測することを試みた。